先週、セミナー講師のご依頼をいただき「トラブルにならない遺言の書き方」について
お話しいたしました。
このところ葬儀の演出や墓、供養、エンディングノートなど、
自分が健康な間に「死に方」について考え、
自分の人生の終末期を自分でプロデュースする「終活」がブームのようです。
私達のような専門家が地道にサポートしてきた「老後の財産管理や遺言などの相続対策」も
終活のひとつなのだそう。
私には、その言葉によって想い出してしまう光景があるのです。
それは、2年前のブータン旅行で出くわしたブータンの高齢者の祈りの光景。
どこに行ってもお年寄りは祈り続けていました。
世界一幸せな国に滞在して一番驚いたのは彼らの「死生観」。
敬虔なチベット仏教徒であるブータン人は「輪廻転生・生まれ変わり」を信じています。
彼らにとって死はとても自然なもの。
恐怖感もなく、終末期医療(延命)にも消極的(←平均寿命66歳)です。
49日で生まれ変わると信じていますからお墓もありません。
朝から夕方まで仏塔で大きなマニ車を回し祈る。
家では携帯用マニ車を回しながらひたすら祈る。
他者の幸せを願って祈り、来世の自身の幸せを祈り続けることが
ブータンの高齢者の終活なのだそう。
なぜならブータン人は、モノやお金に執着していないから残す財産はなく、
高齢者福祉制度は充実しており、お年寄りは「家」で「地域」で面倒をみる事が当たり前。
だから経済的にも精神的にも老後の心配がないのです。
自分のことは誰かがなんとかしてくれると信じているから、「祈り」に没頭できるのです。
「生きた証を残したい」、
あるいは人間関係の希薄さゆえ「人に迷惑をかけずに終わりたい」「頼れる人がいない」など
日本の終活事情は様々。
今や1.5兆円マーケットともいわれる終活ビジネスの盛り上がりを見ると
複雑な気持ちにもなります。
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