静岡新聞・窓辺⑦『イノシシの足跡』

静岡新聞窓辺⑦(5月17日)掲載分

街中で仕事しているときは「大変だなあ」とどこか人ごとのような感覚でした。

当事者になると全く違う・・。

私が思いつく程度の対策や共存(ジビエ食文化)は、少しずつ実践されているのだろうけど。


鳥獣問題に限らずどんな社会問題も、業界外の人々が当事者感覚を持たないと解決しないなと

実感。


 

イノシシの足跡

「山間地だけでなく街にも出るのか・・」新東名静岡IC近くの圃場。
掘り返された土と倒された苗木を見て愕然とした。
大小2種類の足跡はイノシシの親子が走り回った証だ。
時速40キロで駆け、1mも跳躍し、鼻先で70㎏の重量を持ち上げる驚異の身体能力。
「猪が出たら美味しいベーコンにしよう!」などと鳥獣被害を甘く考えていた私には、
大きな足跡が自然からの挑戦状に思えた。

この日から被害について勉強し、
県内各地で起きている深刻な状況を正しく理解する事に努めた。
私達の地域活性事業に共感・参戦してくれる各地の農家仲間のためにも
この問題を避けて通ることができなくなったのだ。

自然環境破壊と鳥獣の餌場や隠れ場となる耕作放棄地の増加が主な原因と聞く。
被害は年々増加しているが、
自分が現場体験するまでここまで酷い状況とは思っていなかった。

近年、農業振興に関わる多くの人々がこの問題に取組んでいるが有効な解決策は少なく、
どこの地域も苦悩している。

農業に限らず世の中には多くの課題が存在し、
大抵弱い立場の人々が皺寄せを受け困窮している。

私達は様々なメディアを通じてそれらの情報を得ているはずだが、
実は「知った」気になっているだけで、実は「本質を理解できていない」事だらけなのだ。

鳥獣被害や荒地など県農業界のリアルを自分の言葉でも発信し、
多くの人が危機感を持ち共に対策に取組むような動きに繋げたい。

いのしし

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